甲子園で感じた「新しいリーダーシップ」

2018年08月25日 投稿者:   カテゴリ: ブログ
甲子園で感じた「新しいリーダーシップ」 Photo by Miki Kondo
今年の夏、生まれて初めて甲子園で高校野球を観戦しました。観戦したのは、常葉大菊川(静岡)vs.日南学園(宮崎)戦。どちらの学校にも縁もゆかりもありません。
 
私が興味をもったのは、常葉大菊川の「ノーサイン野球」というアプローチ。普通、ベンチにいる監督は、グラウンドの選手に対して、サインを通してバンドや盗塁などの指示を送ります。選手は監督の指示に従いプレーします。しかし、常葉大菊川の高橋利和監督(1986年生)はサインを出さず、選手が自分たちで何をすべきか考え、選手間で合図を送りあって意思疎通しながら試合を進めるとのこと。「トップダウンの指示で動くのではなく、現場にいる一人ひとりが自分の頭で考え、行動する組織づくり」は現在多くの企業が目指している姿。高校野球でそれを実践しているチームの試合をぜひ間近に見てみたいと思ったのです。
 
試合当日。猛暑の中、早朝から長蛇の列に並び、アルプススタンドへ。常葉大菊川ベンチの様子が見えるように、わざと対戦相手の日南学園サイドの3塁側応援席に。いよいよ試合開始。ベンチの高橋監督は声援を送っているものの、身振り手振りのサインは出していないらしい様子は見てとれました。試合は結果的に3対0で常葉大菊川の勝利でしたが、ノーサイン野球の極意は観戦だけではわかりませんでした。(ちなみに、応援は両チームに等しくやりました)
 
そこで、帰宅後、複数のメディアにあたって情報収集を行いました。下記がわかったことです。
 
「ノーサイン」の実施時期: 
  • 2年前の監督就任直後から
「ノーサイン」を採り入れた理由:
  • 高橋監督自身が選手時代に心から納得していない監督の指示に従って後悔したことがあるから
  • 高橋監督は、「選手が主体的に考えてプレーするほうが選手ものびのびとやれるし、自分が思いつかないような展開で点をとることがある」と考えているから(監督は、10代の選手の柔軟な発想に驚くことがあるそう)
高橋監督が目指すチーム像:
  • 前向きな失敗はOKとし、選手が失敗を恐れず挑戦しやすい雰囲気(選手側も、監督について「自分たちがやりやすい環境をつくってくれている」と話している)
  • 選手は、監督を「トシさん」と呼んでいる。監督は、選手との距離が近くなるので、その呼び方を歓迎している
 
私が夏の高校野球を熱心に観ていたのは、遥か昔の中学・高校時代。私の中で、強い野球部のイメージは、カリスマ性のある監督が「黙って俺についてこい!」と檄をとばし、選手たちは監督の指示に絶対服従というもの。一方、常葉大菊川では、監督と選手はフラットな関係性の中で同じ目的に向かっていく。監督は選手が力を発揮しやすい環境をつくり、あとは選手に任せる。ウン十年ぶりの高校野球観戦を通して、高校野球にも新しいリーダーシップの風が吹いていると実感しました。
 
残念ながら、常葉大菊川は3回戦で負けてしまいましたが、最後まで選手たちは笑顔をみせ、悲壮感がなかったことも印象的でした。