「個人の力」と「チームの力」

2018年01月31日 投稿者:   カテゴリ: ブログ
「個人の力」と「チームの力」 Photo by vladsilver / PIXTA

最近、講師として、受講生の「個人の力」をてこに「チームの力」を引き出すことを強く意識するようになりました。ありがたいことに、お客さま企業に当社の長期研修を毎年継続的に実施していただくケースが増えています。同じプログラムでも、年度が変わって受講生が入れ替わることで、前年とは異なる個性をもった集団に向き合うことになります。

例えば、前年の受講生より、全体として発言が少なく控えめだったある研修の受講生たち。最初は、発言する内容を思いつかないのか、思いついても変なことを言って人前で恥をかきたくないとためらっているのか、そのどちらかだと思いました。

しかし、一人ひとりの学ぶ意欲は高く、こちらからランダムに指名すると示唆に富んだ回答が返ってくるのです。なぜ言いたいことは持っているのに全員の前では発言が少ないのだろう、と不思議に思いました。受講生と話してみると、「自分ばかりが発言すると他の人の発言の機会を奪ってしまう」と仲間を慮って発言を控えていることがわかりました。予想外の回答でした。

そこで、受講生全員に「全員の前で質問をしたり、考えを述べたりすることは、全員の学びや気づきを後押しすること。つまり、一人の発言は、全体に貢献するということ。発言したい人は、遠慮しないで発言しましょう」と伝えました。しかし、それでも反応が今一つだったので、別の機会をとらえて、さらに強くこう言いました。「この研修では、受講生が相互に学びあうことが学習の鍵です。発言しない人はテイクばかりでギブがありません。いわば『フリーライダー(ただ乗り)』です。みんながギブアンドテイクを心がけなければ成長機会は半減します」

ここまで言うと、言いたいことがあるのに遠慮していた受講生1-2名が自発的に発言をするようになりました。その1-2名に触発されて、人前で発言することに苦手意識をもっていた受講生たちも、徐々に自分を奮いたたせて発言するようになったのです。

しかし、それで終わりではありません。更に面白いことには、発言する人の数が5人程度の臨界量に達すると、「発言競争」とでもいうべきことが起こりました。多くの受講生が、受動的にひとの話を聞き流すのではなく、「質問や発言をする」という前提で、能動的に他のひとの話を聞くようになったのです。「山が動いた」瞬間です。

我々がお奨めしているのは、「発言内容を固めてから手を挙げるのではなく、まず手を挙げて、その後に何を言うかを考える」、という逆のプロセスです。そうやって自分を追い込むことで、考えることを自分に強い、アドリブ力を上げることができます。実際にそれを実行した猛者も何人か現れました。

「人前での発言」を巡る一連のできごとを通じて、「個人の力」を引き出すことで、「チームの力」が向上する、「チームの力」が向上すれば、「個人の力」が引きあがるというプラスのスパイラルを実感しました。

この1-2月は、新しいメンバーでの研修が複数キックオフします。数か月に亘る研修期間、もちろん一人ひとりを「個」としてとらえて、長期にわたって定点観測しながら、各自にあった支援を提供していきます。しかし、それにとどまらず、各プログラムの受講生全員を一つのチームとして、チームの風土をつくる行動様式にも注意を払いつつ「チームの力」を引き出し、相互に学び合う場(“Learning Environment”)を創造することにもチャレンジしていきます。